Q
い草農家を継いだきっかけを教えて下さい。
正直に言うと、「継ぐ・継がない」と深く考えたことはあまりありませんでした。
代々い草農家で、子どもの頃から畑仕事を手伝うのが、私にとってはごく自然な日常だったからです。
学校に通いながら、登校前に畑を手伝い、帰宅後もまた畑へ向かう。
い草づくりと学校生活を行き来する毎日の中で、
少しずつ、い草づくりが自分の生活の一部になっていきました。
特別に決断したというより、
気づけば自然と、この仕事を続けていた。
そんな感覚がいちばん近いかもしれません。
Q
代替わりしてから、特に大変だったことは何ですか?
代替わりしてからは、正直大変な時期でした。
それまで手伝いはしていましたが、い草栽培のノウハウを
体系的に学んでいたわけではなかったんです。
分からないことも多く、知り合いの農家さんに教えてもらいながら、
とにかく試行錯誤の繰り返しでした。
分からないことは聞く、やってみる、失敗する、また考える。
その積み重ねですね。
Q
そうした経験を経て、今の栽培で大切にしていることやこだわりは何ですか?
細かいところまで含めると、こだわりは本当にたくさんあります。
その中でも、特に大きいと感じているのが、次の4つです。
1,「土づくり」
食品廃棄物を発酵させた肥料を使い、土の環境を整えています。
本来は捨てられてしまうものを活かすことで、
ごみ問題の解決にもつながり、
同時に土はふかふかになり、い草が育ちやすい状態になります。
2,「環境への配慮」
光合成細菌や焼酎粕といった資材は、若い起業家の方が取り組まれているものですが、
田んぼの環境を整えるのに役立つと感じ、取り入れています。
田んぼの状態が良くなることは、い草の育ちにもつながりますし、
同時に地域の取り組みを後押しすることにもなります。
3,「安全の担保」
畳は、素足で歩いたり、寝転んだりと、
肌に直接触れるものだからこそ、安全面は欠かせないと考えています。
そのため、第三者機関による残留農薬検査を実施し、
安心して使ってもらえる畳表であることを確認しています。
自分たちがつくったものを、
小さなお子さんからご年配の方まで、
安心して使ってもらえるように。
畳を使う方へ、安心と安全をきちんと繋ぎます。
4,「技術を次世代へ」
畳表の品質を左右するのは、最後の検品と仕上げの技術だと考えています。
どんなに良いい草でも、最終の仕上げが雑では、その良さは伝わりません。
仕上げ作業に入るときは、気持ちを落ち着かせ、
一枚一枚と向き合うようにしています。
この工程は、感覚の部分が大きく、言葉だけでは伝えきれないものです。
だからこそ、長年積み重ねてきた技術や感覚を次の世代へ繋いでいきたいと思っています。
Q
畑野さんにとって「い草づくり」とはどんな仕事ですか?
い草づくりは、ただ作物を育てる仕事ではないと思っています。
土づくりから始まり、環境を考え、安全を守り、技術を磨く。
その一つひとつがつながって、ようやく一枚の畳表になります。
代々受け継がれてきたものを守りながら、
今の時代に合った形で続けていく。
その積み重ねが、次の世代へとつながっていけばいいですね。
自ら立ち上げたブランド「呉座蔵十平」の屋号名で、
7代目となる息子の泰輝さんとともにい草づくりに取り組まれています。
写真は、トレードマークの「ジャガーポーズ」で写ってくださいました!
長い歴史と確かな仕事ぶりに加え、場を和ませるお人柄もまた、
多くの方に親しまれている理由のひとつです。