Q
日常の延長にあったい草づくり
正直に言うと、「継ぐ・継がない」と深く考えたことはあまりありませんでした。
代々い草農家で、子どもの頃から畑仕事を手伝うのが、私にとってはごく自然な日常だったからです。
学校に通いながら、登校前に畑を手伝い、帰宅後もまた畑へ向かう。
い草づくりと学校生活を行き来する毎日の中で、
少しずつ、い草づくりが自分の生活の一部になっていきました。
そうやって過ごしているうちに、い草づくりが自然と自分の生活の一部になっていて。
気づけば、この仕事を続けていた、という感覚が一番近いですね。
Q
手探りで積み重ねてきた日々
代替わりしてからは、正直大変でした。
それまでも手伝いはしていましたが、栽培を1から任されるとなると、分からないことばかりで。
知り合いの農家さんに教えてもらいながら、とにかく試行錯誤の毎日でした。
分からないことは聞く。やってみる。失敗する。そしてまた考える。
その繰り返しの中で、少しずつ自分なりのやり方が見えてきた気がします。
Q
こだわりを重ねたい草づくり
こだわりは、細かく言えば本当にたくさんあります。
たとえば土づくりでは、食品廃棄物を発酵させた肥料を使っています。
捨てられてしまうものを活かすことで、土がふかふかになって、い草も育ちやすくなるんです。
光合成細菌や焼酎粕も取り入れながら、田んぼ全体の環境を整えることも意識しています。
い草のためでもあり、地域の取り組みにもつながっていると感じています。
それと、畳は直接肌に触れるものなので、安全性も大事にしています。
第三者機関による残留農薬検査を行って、安心して使ってもらえるようにしています。
最後の仕上げの工程も、とても大事です。
どれだけ良いい草でも、ここが雑だとその良さは伝わらない。
一枚一枚と向き合う時間は、やっぱり欠かせないですね。
Q
畑野さんにとって「い草づくり」とは
い草づくりは、ただ作物を育てる仕事ではないと思っています。
土づくりから始まって、環境を整えて、安全を守って、技術を磨く。
そうした一つひとつがつながって、ようやく一枚の畳表になります。
受け継いできたものを大切にしながら、今の時代に合う形で続けていくこと。
それが、次の世代につながっていけばいいなと思っています。
自ら立ち上げたブランド「呉座蔵十平」の屋号名で、
7代目となる息子の泰輝さんとともにい草づくりに取り組まれています。
写真は、トレードマークの「ジャガーポーズ」で写ってくださいました!
長い歴史と確かな仕事ぶりに加え、場を和ませるお人柄もまた、
多くの方に親しまれている理由のひとつです。
■主な受賞歴
全国い生産団体連合会長賞(平成30年・令和元年)
農林水産省農産局長賞、九州農政局長賞
熊本県品評会にて一等賞・優賞受賞 ほか多数