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加来 文男(カク フミオ)

涼風
栽培種類
涼風
作付面積
1.2ha
文男さんは、加来家2代目のい草農家です。
現在は奥様、そして3代目の正臣さんとともに、家族3人でい草づくりに取り組まれています。

文男さんは約45年にわたり田に立ち続け、正臣さんもまもなく就農20年目を迎えられます。
長年の経験と親子の信頼関係を土台に、安定した品質のい草づくりを続けています。

■畳表
本間綿々
五八麻綿
五八綿

■主な受賞歴
令和4年 い業大会 九州農政局長賞(い草)
🎤
インタビュー
Q 涼風とともに歩む、家族三代のい草づくり
元々は別の品種を栽培していましたが、約10年前に「涼風」へ切り替えました。
気候変化なども踏まえて、より安定して育てられる品種を模索する中で、涼風にたどり着きました。

涼風は比較的生育が安定しており、枯れが少なく収量も確保しやすい品種ですが、
やはり品質の良いい草をつくるためには日々の細かな管理が欠かせません。

そのため、水管理や施肥のタイミング、天候や生育状況を見極めながら、その年に合った栽培を行うことで、安定した品質につなげています。
Q 品質を支える、「傷を出さない」畳表づくり
一番大切にしているのは、「傷を出さないこと」です。
どれだけ良い原草でも、扱いが雑になれば最終の品質は落ちてしまいます。
そのため、土台となる栽培では、水管理や生育の見極めを丁寧に行い、まっすぐで粘りのあるい草に育てることを心がけています。

製織では、い草の状態を見ながら織機の張りや速度を細かく調整し、一本一本に無理をかけないようにしています。
わずかな圧や擦れが傷につながるからこそ、細部まで目を配ります。

栽培だけでも、製織だけでも成り立たない。どちらも同じだけ大切だと思っています。
Q 「傷を出さない」ための工夫
畳表の製織は、い草の選定から始まります。
織機に乗せる直前に、細い草や折れた草、傷や変色のあるものがないかを一本一本目で確かめ、丁寧に選定します。

しかし、その前にもうひとつ大切な工程があります。
それが「加湿」です。

前日の夜、その日の天気や気温、湿度を見ながら、専用の機械でい草に適切な水分を含ませます。
この加湿が十分でないと、翌日の製織の際にい草が折れたり、傷がついたりしてしまいます。
Q 最終工程「仕上げ」
仕上げは、畳表の価値が決まる一番最後の工程です。

色の揃い方や表情、全体のバランスを見ながら整えていきますが、
ここでの判断ひとつで印象は大きく変わります。

長年やってきた感覚がないと難しい部分もありますし、
まだ息子には任せていませんね。笑

最後に責任を持つのが仕上げだと思っています。
だからこそ、自分がきちんと見て出すようにしています。
インタビュアーより

今回の取材で印象的だったのは、加来さんご家族の中に流れる、ものづくりへの静かな熱意でした。
多くを語らなくても、工程一つひとつに向き合う姿勢や、「傷を出さない」という明確な基準から、品質に対する強いこだわりが伝わってきました。

特に文男さんの仕上げへの責任感には、長年現場に立ち続けてきた職人としての覚悟を感じます。
また、その背中を見ながら学ぶ正臣さんの姿も印象的で、技術だけでなく想いも受け継がれていく産地の強さを感じました。

インタビューにご協力いただき、ありがとうございました!