畳を選ぶ際、「い草畳の等級の違いが分からない」「価格差の理由が不明」と迷っていませんか?い草畳には、JAS規格による等級制度があり、同じい草畳でも等級によって品質・価格・耐久性が大きく異なります。

畳の種類については「畳の種類一覧|い草・樹脂・和紙畳の特徴比較とあなたに合う選び方」で詳しく解説していますが、伝統的な「い草畳」は独特の香りと調湿性が魅力です。等級によって見た目の美しさや寿命が2倍以上変わり、選び方を誤ると高額な畳でも満足できなかったり、安価な畳で早期劣化に悩むことになります。

この記事では、い草畳の等級制度と上質な畳を見分ける5つのチェックポイントを解説します。あなたの予算・用途に最適な畳選びをサポートします。

い草畳の等級制度|JAS規格と経糸分類

い草畳の等級は、主に「JAS規格」と「経糸(たていと)の種類」で分類されます。

JAS規格の3等級(特等・1等・2等)

JAS規格(畳表の日本農林規格)は農林水産省が定める、織り上がった畳表の品質基準です。特等・1等・2等の3等級に区分されます。

区分に使われるのは次の項目です。

区分項目
品質幅、長さ(端から端まで)、たて糸の種類、たて糸の本数、織り方、耳毛の長さ、1m²当たりの重量、水分
品位色合い、色調、色段、変色い、粒そろい、地合い、糸切れ・片ざしその他の織り傷、仕上げ、汚れその他の欠点、端止め

ここで注意したいのが「長さ」の意味です。JAS規格の長さは畳表そのものの端から端までの寸法であって、い草1本の長さではありません。

よくある誤解: 「JAS特等はい草が◯cm以上」という説明を見かけますが、い草1本の長さや本数はJAS規格の規定項目ではありません。密度は「1m²当たりの重量」で規定されます。い草の長さ・本数は、商品を選ぶうえでの実用的な目安として業界で広く使われている指標です(具体的な数値は後述の商品別データを参照)。

経糸による5段階分類

経糸とは、畳表を織る際の縦糸のことで、素材と本数によって耐久性が大きく変わります。

たて糸の種類と本数はJAS規格の区分項目でもありますが、下表の「麻麻ダブル」などの呼称は業界で慣用的に使われるグレード表現で、JASの等級名とは別のものです。

経糸の種類素材構成特徴位置づけ(業界慣行)
麻麻ダブル(麻四芯)麻糸2本×2列最も耐久性が高い最上級
麻綿ダブル麻糸1本+綿糸1本×2列耐久性と価格のバランスが良い高級
太麻シングル太い麻糸1本×2列実用性重視中級
綿綿ダブル綿糸2本×2列一般家庭向け標準
綿シングル綿糸1本×2列賃貸や子ども部屋向け基本

品質を判断する主な要素

JAS等級は前述の規格項目で決まりますが、店頭で畳表を選ぶ際は次の要素が実用的な判断材料になります。

  • い草の長さ:長いほど上質な中心部を多く使える
  • い草の本数:多いほど密度が高く耐久性に優れる
  • 経糸の種類:麻糸>綿糸、ダブル>シングル
  • 色と太さの均一性:揃っているほど美しく高品質

実際の商品で見る等級の違い

JAS規格は基準の枠組みですが、実際に流通している畳表がどの数値になるかは商品ごとに異なります。タタミズキで扱う熊本県八代産い草の等級別データは以下のとおりです。

商品名位置づけい草の長さ1畳の重さい草の本数
ひのさらさクラス最高級品130cm以上2.8kg約8,000本
あおぞら高級品(JAS特等 上)120cm以上2.4kg約7,000本
そよかぜ上級品(JAS特等)115cm以上2.2kg約6,000本
さざなみ標準品(JAS1等)110cm以上2.0kg約5,000本
だいち普及品(JAS2等)105cm以上1.8kg約4,000本
中国産 糸引普及品(中国産)105cm以上2.0kg約4,000本

長さ・重さ・本数が揃って上がるのが上位等級の特徴です。本数が4,000本から8,000本へ倍増すると、織り目が詰まって表面が滑らかになり、へたりにくくなります。各商品名のリンク先で、実際の畳表の写真と詳細な仕様を確認できます。

上質な畳を見分ける5つのチェックポイント

い草畳の品質を見分けるには、以下の5つのチェックポイントを確認しましょう。

チェックポイント①:い草の長さで品質を見分ける

い草の長さは品質を判断する最も重要な要素の一つです。

商品グレード別のい草の長さ

い草の長さはJAS規格の項目ではありませんが、品質の目安として流通の現場で広く使われています。実際の商品では次のような幅があります。

  • 最高級品:130cm以上
  • 高級品:120cm以上
  • 上級品:115cm以上
  • 標準品:110cm以上
  • 普及品:105cm以上

い草は中心部が最も充実しており、根元と先端は品質が劣ります。長いい草ほど上質な中心部を多く使用できるため、色ムラが少なく美しい仕上がりになります。

長いい草がなぜ高品質なのか

長いい草は十分に成熟しており、耐久性が高く退色後も美しい黄金色になります。短いい草は未成熟で色ムラや早期劣化が起こりやすいです。い草の長さは規格表示には現れないため、畳店や商品ページの仕様で確認しましょう。

畳のサイズや張替え時期については、「畳のサイズ完全ガイド|地域別の違いと選び方のポイント」および「畳交換のタイミングはいつ?|見分け方と適切な時期を解説」をご参照ください。

チェックポイント②:い草の本数と密度を確認する

い草の本数と密度も品質を大きく左右します。

等級別のい草本数の目安

1畳あたりのい草本数は、等級によって大きく異なります。

  • 最高級品:約8,000本
  • 高級品:約7,000本
  • 上級品:約6,000本
  • 標準品:約5,000本
  • 普及品:約4,000本

本数が多いほど、畳表の目が詰まって密度が高くなります。

密度が高い畳表のメリット

密度が高い畳表は、耐久性が高く摩耗に強い、踏み心地が良い、汚れにくい、織り目が美しいなどのメリットがあります。手で触って硬さと密度を感じられるものが高品質です。

チェックポイント③:経糸の種類を確認する

経糸の種類は、畳表の耐久性と価格を決定する重要な要素です。

麻糸と綿糸の違い

麻糸は強度が高く長期間使用しても切れにくいですが、価格が高いです。綿糸は麻糸より強度は劣りますが、十分な実用性があり価格が手頃です。

シングルとダブルの差

ダブル(二芯)は経糸を2本ずつ使用し強度が高く、高級品に多く使われます。シングル(一芯)は経糸を1本ずつ使用し、軽量で標準品〜基本品に多いです。最も耐久性が高いのは「麻麻ダブル(麻四芯)」で、客間や応接間に最適です。

チェックポイント④:い草の色と太さの均一性を見る

上質な畳表は、い草の色と太さが均一に揃っています。

上質ない草の色と太さの特徴

上質ない草は鮮やかな緑色で、変色・傷・ささくれがほとんどなく、色ムラが少ないです。太さが揃っていると織り目が美しく耐久性も高まります。い草畳は緑色から黄金色へ退色しますが、上質ない草は美しく均一な黄金色になります。

チェックポイント⑤:国産か中国産かを確認する

い草畳には国産と中国産があり、品質・価格に大きな違いがあります。

国産と中国産の特徴

国産い草(熊本県が90%以上)は、じっくり成熟させ丁寧に乾燥させるため、色・太さ・耐久性に優れ、香りが強く15年以上使用可能です。中国産い草(国内市場の80%)は、国産の約70%の価格ですが、急速乾燥のため色ムラが多く香りが弱く、寿命は10年程度です。産地表示ラベルで確認しましょう。

国産い草は湿気によるカビのリスクも中国産より低いですが、適切なメンテナンスは必要です。詳しくは「畳のカビ対策完全ガイド|原因・予防・除去方法を徹底解説」をご覧ください。

い草の品質を決める4要素: 長さ・重さ・本数に加えて「産地」も品質を左右します。それぞれがなぜ価格に効くのかは「同じ「畳」なのに、なぜ価格が違うの?|畳表の品質を決める4つのポイント」で写真つきで解説しています。

国産い草と中国産い草の徹底比較

国産と中国産の違いを詳しく見ていきましょう。

収穫時期と乾燥工程の違い

国産い草は7月に十分成熟してから収穫し、約15時間かけてじっくり乾燥させるため、色・香り・風合いが優れています。中国産い草は6月に未成熟な状態で収穫し、急速乾燥で処理するため、色ムラ・ささくれが発生しやすく香りが弱くなります。この違いが品質差の主な理由です。

耐久性・外観・香りの比較表

項目国産い草中国産い草
収穫時期7月中旬〜下旬(成熟)6月中旬〜下旬(早期)
乾燥工程約15時間じっくり乾燥急速乾燥
耐久性◎ 15年以上◯ 10年程度
外観◎ 色・太さ均一△ 色ムラ・ささくれあり
香り◎ 強い爽やかな香り△ 弱い
価格相場(1畳)10,000円〜20,000円7,000円〜14,000円
産地シェア熊本県90%以上国内市場80%

中国産は国産の約70%の価格です。初期費用を抑えたい方には中国産も選択肢になります。

中国産い草の実データ: 中国産の具体的な仕様は「中国産天然い草 糸引(普及品)」で確認できます。国産の同等級「だいち(普及品_JAS2等)」と数値を並べると違いが分かります。

等級の選び方|価格相場と部屋用途別推奨

等級別の価格相場と部屋の用途に応じた選び方を解説します。

等級別の価格表

グレード経糸価格相場(1畳)用途
特等麻麻麻ダブル13,750円〜客間・応接間
1等麻麻綿ダブル12,650円〜リビング・寝室
2等麻太麻シングル11,650円〜一般居室
2等糸綿綿ダブル7,700円〜子ども部屋
国産表糸綿シングル5,500円〜賃貸・予備室
中国産綿シングル3,850円〜賃貸・頻繁交換

※価格は目安です。地域・業者・時期によって異なります。等級名は流通上の呼称で、JAS格付けを受けた製品であることを保証するものではありません。

等級別の交換費用や作業内容については、「畳交換の費用相場を徹底解説|作業内容別の価格と安く抑えるコツ」で詳しく解説しています。

選び方のポイント

  • 予算重視:中国産または国産表糸
  • コストパフォーマンス重視:JAS2等糸
  • 品質と価格のバランス:JAS2等麻〜1等麻
  • 最高品質:JAS特等麻

使用頻度、部屋の重要度、予算を総合的に考慮して選びましょう。

部屋用途別のおすすめ等級

部屋用途に応じた推奨等級を紹介します。

  • 客間・応接間:JAS特等〜1等麻。見た目の美しさと耐久性を兼ね備え、長期間使用しても美しい退色を楽しめます
  • リビング・寝室:JAS1等〜2等麻。品質と価格のバランスが良く、十分な耐久性があります
  • 子ども部屋:JAS2等糸。汚れや傷がつきやすい部屋に最適で、価格が手頃です
  • 賃貸・予備室:国産表糸または中国産。使用頻度が低い部屋や数年で交換予定の場合に最適です

まとめ

い草畳の等級と品質を見分けるポイントをまとめます。

  • 等級制度:JAS規格(特等・1等・2等)は畳表の幅・長さ・たて糸・重量・品位で区分される。い草の長さや本数はJASの項目ではなく、商品選びの実用的な目安。
  • 5つのチェックポイント:①い草の長さ、②本数と密度、③経糸の種類、④色と太さの均一性、⑤国産vs中国産を確認することで上質な畳を見分けられる。
  • 国産vs中国産:国産は品質・香り・耐久性に優れるが価格が高い。中国産は価格が安いが色ムラや耐久性がやや劣る。
  • 部屋用途別選び方:客間には特等〜1等麻、リビングには1等〜2等麻、子ども部屋には2等糸、賃貸には国産表糸または中国産がおすすめ。

予算と用途に応じて、最適な等級を選びましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1: い草畳の等級は何で決まりますか?

A: JAS規格(畳表の日本農林規格)の等級は、幅・長さ(畳表の端から端まで)・たて糸の種類と本数・織り方・1m²当たりの重量・水分と、色合いや織り傷などの品位で決まります。い草1本の長さや本数はJASの規定項目ではありませんが、商品を選ぶ際の実用的な目安として広く使われています。

Q2: 国産い草と中国産い草はどう違いますか?

A: 国産は7月に十分成熟してから収穫し約15時間じっくり乾燥させるため、色が均一で香りが強く耐久性に優れます。中国産は6月に早期収穫し急速乾燥のため、色ムラやささくれが多く香りが弱いです。価格は中国産が国産の約70%です。

Q3: 麻糸と綿糸の畳表はどちらが良いですか?

A: 麻糸の方が強度が高く耐久性に優れます。特に「麻麻ダブル(麻四芯)」は最高級で長期使用する部屋に最適です。綿糸は強度は劣りますが価格が手頃で一般家庭の標準的な畳として十分な実用性があります。

Q4: い草の本数が多いとどんなメリットがありますか?

A: 密度が高くなり以下のメリットがあります。①耐久性が高く摩耗に強い、②しっかりとした踏み心地、③汚れにくい、④見た目が美しい。1畳あたりの本数は普及品で約4,000本、標準品で約5,000本、最高級品では約8,000本と倍近い差があります。

Q5: 価格と品質はどのくらい比例しますか?

A: 等級が高いほど価格も高くなり品質も向上します。JAS特等麻(13,750円〜)は最高品質ですが、JAS2等糸(7,700円〜)でも一般家庭では十分です。価格差はい草の長さ・本数・経糸の違いによります。

出典・参考情報

※本記事の規格に関する記述は、以下の一次情報に基づいています。

※耐久年数・乾燥時間・価格相場は、使用環境・施工業者・時期によって幅があります。記載は一般的な目安です。

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