引っ越しの際に「前の家で使っていたカーペットが新しい和室に合わない」と困った経験はありませんか。実は、畳のサイズは地域によって大きく異なります。関西と関東では、同じ8畳の部屋でも広さが約1.5畳分(約2.96㎡)も違うことがあるのです。

この記事では、京間(関西間)、江戸間(関東間)、中京間、団地間という4つの主要規格の違いを詳しく解説します。また、正確な測り方や引っ越し時の注意点、家具選びのポイントまで、初心者の方にもわかりやすくご紹介します。

目次

畳のサイズは地域によって違う!4つの主要規格を徹底解説

畳のサイズは全国で統一されていません。京間、江戸間、中京間、団地間という4つの主要規格があり、それぞれサイズが異なります。

京間(本間・関西間)|最も大きいサイズ

京間は最も大きいサイズの畳で、1畳あたり95.5cm×191cm(約1.82㎡)です。主に関西地方で使用されており、「本間(ほんま)」や「関西間」とも呼ばれています。部屋全体がゆったりとした印象になり、伝統的な和室のイメージに近いサイズです。

江戸間(五八間・関東間)|最も一般的なサイズ

江戸間は日本で最も普及している畳のサイズで、1畳あたり88㎝×176cm(約1.55㎡)です。主に関東地方で使用されており、「五八間(ごはちま)」や「関東間」とも呼ばれています。全国的に最も普及している規格で、住宅メーカーの新築住宅で多く採用されています。

中京間(三六間)|東海地方の標準サイズ

中京間は京間と江戸間の中間的なサイズで、1畳あたり91㎝×182cm(約1.66㎡)です。主に東海地方で使用されており、「三六間(さぶろくま)」とも呼ばれています。バランスの良いサイズで、東海地方の多くの住宅で採用されています。

団地間(公団サイズ)|マンション・集合住宅の標準

団地間は最も小さいサイズの畳で、1畳あたり85cm×170cm(約1.45㎡)です。主に公団住宅やマンション、アパートなどの集合住宅で使用されています。限られたスペースを有効活用するために、コンパクトなサイズが採用されました。

なぜ地域で畳のサイズが違うの?歴史的背景を解説

畳のサイズが地域によって異なるのには、歴史的な建築文化の違いが関係しています。

関西の「畳割り」工法とは

関西地方では、「畳割り(たたみわり)」という工法が古くから使われてきました。まず畳のサイズを決めてから、それに合わせて柱の位置を決める建築方法です。京都の伝統的な建築文化から生まれた工法で、畳が部屋の主役という考え方が根底にあります。

関東の「柱割り」工法とは

関東地方では「柱割り(はしらわり)」という工法が主流でした。まず柱の位置を決めてから、その間に畳を敷き詰める建築方法です。江戸時代の急速な都市開発で効率を重視した結果生まれた工法で、建物の構造が優先されます。

このように、畳のサイズの違いは、それぞれの地域の歴史や文化、建築技術の発展と深く結びついています。

畳のサイズ一覧表|地域別・規格別の詳細データ

4つの主要規格のサイズを一覧表でわかりやすく比較します。

各規格のサイズ比較表(縦×横、平米、坪換算)

規格名 別名 主な使用地域 1畳のサイズ(縦×横) 1畳の面積(㎡) 京間比
京間 本間、関西間 関西、中国・四国の一部 95.5cm×191cm 1.82㎡ 100%
中京間 三六間 東海、東北の一部 91cm×182cm 1.66㎡ 91%
江戸間 五八間、関東間 関東、東北、北海道、九州 88㎝×176cm 1.55㎡ 85%
団地間 公団サイズ 全国の集合住宅 85cm×170cm 1.45㎡ 79%

最も大きい京間と最も小さい団地間では、1畳あたり約0.37㎡(約21%)もの差があります。

8畳の部屋の広さ比較

同じ「8畳」でも、規格によって実際の広さは大きく異なります。

規格名 8畳の面積(㎡) 京間8畳との差
京間 14.56㎡
中京間 13.28㎡ -1.28㎡
江戸間 12.40㎡ -2.16㎡
団地間 11.60㎡ -2.96㎡

京間の8畳と団地間の8畳では、約2.96㎡(約1.6畳分)もの差があります。これは、引っ越しの際にカーペットやラグが合わなくなる大きな理由です。

不動産広告の「1畳=1.62㎡」基準について

不動産広告でよく見かける「1畳=1.62㎡」という基準は、不動産公正取引協議会が定めたものです。この基準は、江戸間よりもやや大きく、中京間よりもやや小さい中間的な数値です。不動産広告の畳数はあくまで目安なので、実際に部屋を見学する際は、メジャーで実測することをおすすめします。

畳の正しい測り方|失敗しないための注意点

畳のサイズを正確に測ることは、張替えや家具購入の際に重要です。

測定に必要な道具と手順

基本の道具:5m以上のメジャー(巻尺)、メモ用紙と筆記用具、スマートフォン(記録用)

測定手順: 1. 畳の長辺(縦)と短辺(横)を端から端まで測定する 2. 縦方向は上端・中央・下端の3箇所、横方向も同じく左端・中央・右端の3箇所を測定する 3. 最も短い数値を採用する(新しい畳が部屋に入らなくなるのを防ぐため)

よくある測定ミス

  • 1箇所だけ測って終わりにする
  • 畳の縁(へり)を含めないで測る
  • 古い畳の縮みを考慮しない

プロの畳業者は専門の測定器具を使用し、6畳の部屋で18〜32箇所を測定します。実際に畳を張り替える際は、プロの業者に正式な採寸を依頼することをおすすめします。

引っ越し時の畳サイズ対策|地域が変わる場合の注意点

地域をまたぐ引っ越しをする際、畳のサイズの違いが思わぬトラブルを引き起こすことがあります。

家具が合わなくなるケース

京間から江戸間への引っ越し:部屋の広さが約15%小さくなります。8畳の部屋が実質約6.8畳相当になるため、大型の家具が入らなくなる可能性があります。

江戸間から京間への引っ越し:部屋の広さが約18%大きくなります。8畳の部屋が実質約9.4畳相当になるため、カーペットが小さくて隙間ができる可能性があります。

カーペット・ラグの選び方

引っ越し前の準備: 1. 新居の畳のサイズを確認する(不動産会社に問い合わせる) 2. 規格(京間、江戸間、中京間、団地間)を確認する 3. 内見時に実際の寸法を測定する

カーペット選びのポイント

  • ジャストサイズは避け、少し余裕を持たせる(各辺5〜10cm小さめ)
  • 「江戸間6畳用」などの規格別表記がある製品を選ぶ
  • 可能であれば、引っ越し後にカーペットを購入する

畳のサイズに合わせた家具選びのポイント

和室に家具を置く際は、畳のサイズだけでなく、畳を傷めない工夫も必要です。

和室に置く家具の選び方

基本のポイント

  • 家具が占める面積を部屋全体の1/3以内に抑える
  • 畳の規格に合わせたサイズ(京間にはゆったり大きめ、団地間にはコンパクト)を選ぶ
  • 家具と家具の間は最低60cm以上の空間を確保する

和室に適した家具:座卓・ちゃぶ台、座椅子、引き出しタイプの収納家具、ローボードなど、高さが低いもの

避けるべき家具:脚が細くて重い家具、キャスター付きの家具、金属脚の家具

畳を傷めない配置方法

荷重分散マットを使う:家具の脚の下に、フェルトパッド、ゴム製の敷板、畳保護マットなどを敷く

家具の配置を定期的に変える:3〜6ヶ月に1度、家具の位置を少しずらす

重量制限を守る:畳は1畳あたり約180kg(大人3人分)の荷重に耐えられますが、これは全体に均等に荷重がかかった場合です。1箇所に集中して重い家具を置かず、極端に重い家具(ピアノなど)は畳の部屋には置かないようにしましょう。

まとめ

この記事では、畳のサイズについて、地域別の違いや選び方のポイントを解説しました。

重要なポイント

1. 4つの主要規格: 京間、江戸間、中京間、団地間があり、最大で約21%の差があります。

2. 歴史的背景: 関西の「畳割り」工法と関東の「柱割り」工法という、異なる建築様式が畳のサイズの違いを生みました。

3. 正確な測定: 複数箇所を測り、最短値を採用することが重要です。

4. 引っ越し時の注意: 地域をまたぐ引っ越しでは、新居の畳のサイズを事前に確認しましょう。

畳のサイズについて正しく理解することで、引っ越しや模様替えの際のトラブルを防ぐことができます。

よくある質問(FAQ)

Q1: 自分の家の畳がどの規格か確認する方法は?

A: まずが畳1枚のサイズを実際に測定することです。メジャーで畳の縦と横を測り、前述のサイズ比較表と照らし合わせてください。横幅が約95.5cm、縦の長さが約191cmなら京間、横幅が約88cm、縦の長さが約176cmなら江戸間です。お住まいの地域からも推測できます(関西なら京間、関東なら江戸間、東海なら中京間の可能性が高い)。

Q2: 1畳は何㎡ですか?

A: 畳のサイズは規格によって異なります。京間は約1.82㎡、中京間は約1.66㎡、江戸間は約1.55㎡、団地間は約1.45㎡です。不動産広告では「1畳=1.62㎡以上」という基準が使われていますが、これはあくまで基準です。ご自宅の畳のサイズを実際に測ることをおすすめします。

Q3: 畳のサイズは家ごとに微妙に違うと聞きましたが本当ですか?

A: はい、本当です。同じ規格でも、家ごとに数センチの違いがあることは珍しくありません。建物の構造や経年変化、製造時の誤差などが原因です。そのため、畳を張り替えるは全てオーダーメイドとなりますので、プロの業者による正確な採寸が必要になります。

Q4: 引っ越しで畳のサイズが変わる場合、家具はどうすればいいですか?

A: まず、新居の畳のサイズを事前に確認しましょう。
(1)家具のサイズを測り直し、新居に入るか確認する。
(2)大型家具が入らない場合は、引っ越し前に処分または買い替えを検討する。
(3)カーペットやラグは、新居のサイズに合わせて新調する。
(4)引っ越し業者に相談し、搬入前にシミュレーションしてもらう。

Q5: 新築時に畳のサイズは選べますか?

A: 注文住宅や建売住宅の場合、建築段階であれば畳のサイズ(規格)を選べることがあります。ハウスメーカーや工務店に相談してみてください。ただし、選べる規格は地域や業者によって異なります。マンションやアパートでは設計段階で規格が決まっていることが多く、個別に変更するのは難しい場合が多いようです。