新築やリフォーム、引っ越しの際に「畳寸法が地域で違う」と聞いて困惑していませんか?日本の畳には地域ごとに異なる寸法規格があり、関東と関西では同じ「6畳間」でも広さが大きく異なります。規格を知らずに家具を選んだり畳を発注すると、サイズが合わず後悔することになりかねません。
この記事では、畳寸法の4つの主要規格(京間・江戸間・中京間・団地間)の正確な寸法、各規格の特徴、選び方を解説します。
畳寸法の規格とは|4つの主要規格
畳寸法は地域の建築文化に応じて発展し、現在では主に4つの規格が使われています。
寸法規格が地域で異なる理由
日本の伝統的な建築では、畳寸法を基準に部屋の広さを決める「畳割り」と、柱の間隔を基準に畳を調整する「柱割り」という2つの設計思想がありました。西日本では畳割り、東日本では柱割りが主流となり、畳寸法の地域差を生みました。
4つの主要規格の概要
日本全国で使用される畳寸法には4つの主要規格があります。
- 京間(関西間):最大の規格。西日本で主流
- (江戸間(関東間):全国的に最も普及。東日本で主流
- 中京間:関西間と関東間の中間。中部地方で主流
- 団地間:最小の規格。マンション・アパートで主流
各規格には正確な畳寸法と特徴があり、用途や地域に応じて使い分けられています。
地域別寸法の詳細比較
各規格の正確な寸法と特徴を詳しく見ていきましょう。
江戸間(関東間、五八間)
江戸間は日本で最も普及している規格です。
正確な寸法:
- 縦:1,760mm(約176cm)
- 横:880mm(約88cm)
- 面積:約1.55㎡
主な使用地域:
- 関東地方全域
- 東北地方
- 北海道(一部)
- 九州・沖縄
特徴: 一戸建て住宅で最も多く採用される全国標準の規格です。柱の間隔(柱割り)を基準に設計されるため、畳のサイズは後から調整されます。汎用性が高く、畳交換や家具配置の計画が立てやすいです。
京間(関西間、本間)
関西間は4つの規格で最大の寸法です。
正確な寸法:
- 縦:1,910mm(約191cm)
- 横:955mm(約95.5cm)
- 面積:約1.82㎡
主な使用地域:
- 関西地方(大阪、京都、兵庫など)
- 中国地方
- 四国地方
- 北陸地方(一部)
特徴: 畳のサイズ(畳割り)を基準に建築するため、部屋全体がゆったりします。関東間と比較して約17%広く、同じ「6畳」でも実際の面積が大きく異なります。伝統的な和風建築や高級住宅で多く採用されます。
中京間は、京間と江戸間の中間サイズです。
正確な寸法:
- 縦:1,820mm(約182cm)
- 横:910mm(約91cm)
- 面積:約1.66㎡
主な使用地域:
- 愛知県
- 岐阜県
- 三重県
- 福島県・山形県(一部)
特徴: 中部地方特有の規格で関西間と関東間の中間サイズです。「三六間(さぶろくま)」とも呼ばれ、3尺×6尺を基準としています。地域密着型の規格のため他地域への引っ越し時は注意が必要です。
団地間(公団間)
団地間は最小の規格です。
正確な寸法:
- 縦:1,700mm(約170cm)
- 横:850mm(約85cm)
- 面積:約1.45㎡
主な使用地域:
- 全国のマンション・アパート
- 団地
- 建売住宅の一部
特徴: 効率的に住居を確保するため高度経済成長期に開発されました。現代のマンションやアパートで最も一般的な規格です。関西間と比較すると約20%小さいため家具選びや配置には注意が必要です。
【比較表1】地域別寸法一覧
| 規格名 | 縦(mm) | 横(mm) | 面積(㎡) | 主な使用地域 |
|---|---|---|---|---|
| 京間(関西間) | 1,910 | 955 | 1.82 | 関西、中国、四国 |
| 中京間 | 1,820 | 910 | 1.66 | 愛知、岐阜、三重 |
| 江戸間(関東間) | 1,760 | 880 | 1.55 | 関東、東北、九州 |
| 団地間 | 1,700 | 850 | 1.45 | 全国(集合住宅) |
【比較表2】6畳間の広さ比較
| 規格名 | 6畳の面積(㎡) | 京間との差 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 京間(関西間) | 10.94 | 基準 | 最も広い |
| 中京間 | 9.93 | 91% | やや広い |
| 江戸間(関東間) | 9.29 | 85% | 標準 |
| 団地間 | 8.67 | 79% | 最も狭い |
京間の6畳は団地間の約7.5畳分に相当します。京間と団地間では約2.27㎡(約1.5畳分)の差があります。引っ越しや家具購入時はこの面積差を考慮しましょう。
畳のサイズに関する詳細は、「畳のサイズ完全ガイド|地域別の違いと選び方のポイント」もご参照ください。
畳寸法の歴史と地域差の理由
なぜ日本各地で畳寸法が異なるのか、その歴史的背景を見ていきましょう。
京間(関西間)の成り立ち
京都を中心とした西日本では、畳寸法を基準に部屋の大きさを決定する「畳割り」が主流でした。京間は豊臣秀吉の時代に京都で定められた畳寸法が起源とされ、1間を6尺5寸(約1.97m)とする京間法に基づいています。
江戸間(関東間)の成り立ち
江戸を中心とした東日本では、柱の間隔を基準に建築し、その間に畳を収める「柱割り」が発展しました。江戸時代の急速な都市化に伴い、効率的な建築が求められたため柱割りが普及しました。1間を6尺(約1.82m)とする「田舎間法」が基準となり、これが関東間の起源です。
中京間の成り立ち
中京間は愛知県を中心とした中部地方独自の規格です。「三六間(さぶろくま)」とも呼ばれ、畳寸法が3尺×6尺(約91cm×182cm)であることに由来します。関西間と関東間の中間に位置する地理的特性から、両方の設計思想を取り入れた折衷案として発展しました。
団地間の登場と現代の建築事情
団地間は高度経済成長期(1960年代)に公団住宅(現UR都市機構)が開発した規格です。限られた土地に効率的に住戸を配置するため小さな畳寸法が採用され、現代のマンションやアパートでは建築コストと居住性のバランスから団地間が標準となっています。一方ハウスメーカーや建売住宅の普及により、全国的に関東間が標準規格として採用されるケースが増えています。
まとめ
畳寸法の地域別規格について重要なポイントをまとめます。
- 4つの主要規格:京間(最大、955×1,910mm)、中京間(910×1,820mm)、江戸間(標準、880×1,760mm)、団地間(最小、850×1,700mm)があり、同じ「6畳」でも面積が最大21%異なります。
- 地域差の理由:西日本の「畳割り」(畳寸法を基準に建築)と東日本の「柱割り」(柱間隔を基準に建築)の異なる設計思想から生まれました。
- リフォーム・引っ越し時:既存の畳寸法を維持するのが基本です。引っ越し時は必ず畳寸法を実測で確認し、家具配置を計画しましょう。
畳寸法は住まいの快適性に直結します。新築・リフォーム・引っ越し時は専門業者に相談しながら最適な規格を選びましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1: 自宅の畳の寸法規格を確認する方法は?
A: 最も確実な方法は畳1枚の縦と横をメジャーで実測することです。横幅が約95.5cm、縦の長さが約191cmなら京間、約91cm×182cmなら中京間、約88cm×176cmなら関東間、約85cm×170cmなら団地間です。過去に畳を交換した記録があれば、施工した畳店に問い合わせるのも有効です。
Q2: 関東から関西に引っ越す場合、畳はどうなる?
A: 関西間は関東間より約17%広く、同じ「6畳」でも部屋が広くなります。関東で使っていた家具は基本的に問題なく配置できますが、配置を見直すと良いでしょう。逆に関西から関東への引っ越しでは部屋が狭く感じられ、家具が入りきらない可能性があるため注意が必要です。
Q3: マンションではどの規格が多い?
A: 現代のマンションやアパートでは団地間が最も一般的です。限られた土地に効率的に住戸を配置するため、小さめの畳寸法が採用されています。ただし、高級マンションや広い間取りの物件では関東間が使われることもあります。購入や賃貸契約の前に必ず畳寸法を確認しましょう。
Q4: 寸法規格を間違えると何が問題?
A: 主な問題は家具配置が狂うことです。引っ越し前に使っていた家具が新居に入りきらなかったり、逆にスペースが余りすぎたりします。また、畳を新調・交換する際に規格を間違えるとサイズが合わず大きな損失になります。畳交換のタイミングについては「畳交換のタイミングはいつ?|見分け方と適切な時期を解説」をご覧ください。
Q5: 団地間はなぜ小さいのか?
A: 団地間は高度経済成長期に効率的な住宅供給のため開発された規格です。1960年代、都市部の人口増加に対応するため公団住宅(現UR都市機構)が小さな畳寸法を採用しました。建築コストを抑え多くの世帯に住居を提供することが優先されました。現代のマンションやアパートでも建築効率と居住性のバランスから団地間が標準となっています。